ジャーナリスト津田さんからメッセージがありました。早速個人として貢献。

以下、大変考えさせられたので。



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もしかしたら既にご存知かもしれませんが、2年前に愛知県から依頼を受け今年の8月1日から10月14日までの75日間愛知県の名古屋市と豊田市で開催される国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督に就任し、現在開催前の準備に忙殺されております。 https://aichitriennale.jp/about/concept.html https://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2017110402000226.html 国際芸術祭は、美術の作家にテーマに合う作品をつくってもらい、それを芸術祭が開催されている期間中大規模に展開して見られるようにする万博的なイベントで、それの全体プロデュースを(なぜか)僕がやっております。 3月27日に名古屋で、4月2日に記者発表会を開催しまして、ネットを中心に大きく話題を集めました。今回のあいちトリエンナーレで参加作家の男女比を均等――ジェンダー平等の実現を発表したからです。 なぜ今回、アファーマティブ・アクションとも取れるこの取り組みを大々的に発表したのか。それは今回のあいちトリエンナーレ2019を、日本のジェンダー平等状況に一石を投じるものにしたいからです。詳しくは添付資料をご覧いただきたいのですが、美術業界は女性が活躍している業界に見えて、非常に男性優位な社会です。例えば美大に入学するのは7割が女性であるにも関わらず、女性の教員は2割もいません。 ほとんどの国際芸術祭に招聘されるアーティストは7〜8割が男性です。美術館の学芸員も2人に1人が女性であるにも関わらず、館長は8割以上が男性です(これが公立美術館になると男性の割合が9割以上に跳ね上がります)。 ジャーナリストとして仕事をしていて、昨年最も衝撃だったニュースは、東京医科大入試の女子一律減点問題でした。まがりなりにも先進国、文明国とされる日本でこんなことが起きるのかと頭がクラクラしたことを覚えています。 この状況に対して、自分は何をできるのだろうかと悩みました。もちろん自分の関わっている番組あるいは連載などでこのような問題を積極的に取り上げるというやり方はあるでしょう。しかしそれだけでいいのか。セクハラや性暴力が男性優位という「構造」に起因する問題であるのなら(そして散々そのことは女性たちから指摘され尽くしてきたわけですから)、自分に決定権のある場所で、ジェンダー平等を実現するアファーマティブ・アクションを具体的に進めていかないといけないのではないかという考えに至りました。 とは言うものの、前述の通り美術業界は男性優位社会であるため、東京医科大事件以降、作家選定のミーティングで口を酸っぱくして「今度のトリエンナーレではジェンダー平等を達成する」とキュレーターたちに伝えてもなかなかそれが理解されず、実現までの道のりはなかなか大変でした。しかし、何とか達成することができ、記者発表したのですが、これがとても大きな反響を呼んでいます。 あらかじめこの取り組みを伝えておき、ジェンダーの問題に敏感なネットメディアのインタビューにも答えました。 https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5c9ab498e4b08c450ccd7da6 https://www.businessinsider.jp/post-188258 https://wezz-y.com/archives/64856 https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/19606 https://www.bengo4.com/c_23/n_9459/ どの記事も大変な反響でツイッターではたくさんシェアされ、さまざまな人がこの取り組みに対して侃々諤々の議論をしています。僕の思いは上記記事に詳細に書かれているので、もしお時間がありましたら(特に上3つを)ご一読いただければ幸いです。発表以降、ツイッターの反応を全部目を通して、そのすべてに返信しています。すべてに目を通して返信することが、「データ」を取るという意味でも、「営業」という意味でも重要であるからです。実際、「議論」といっても、ネット上の賛否でいえば、賛成9割以上、反対が1割もいないという感じですね。このことは僕を強く勇気づけています。 実際にこの方針を決めて、実現するのは非常に大変でした。内部からの反発も大きく、女性キュレーターからは反対の声も挙がりました。その議論を通じて、この問題の根深さを学びましたし、自分が今後の人生できちんと正面から取り組まないといけない課題であるとも感じました。 僕のようなアートの素人が美術業界に入っていって芸術監督をすることの意味は何か、芸術監督就任以来、2年間ずっと考えてきました。事ここに至って、参加作家のジェンダー平等を達成することは、美術業界の門外漢――美術業界とのしがらみがなく、いくら美術業界から恨みを買っても、自分のフィールドに戻れる立場の自分でないとできなかったことではないかと思いました。僕は芸術祭を美術業界や一部のアートマニアのものにしたくないのです。このトリエンナーレの取り組みを「文化芸術」の文脈だけでなく「ジェンダー」「アファーマティブ・アクション」「共生」「多様性」といった文脈で広がりを持たせることがジャーナリストである自分の仕事である、とも思っています。 もちろん、ジェンダーギャップがもたらす問題は美術業界に限った話ではなく、日本社会全体を覆う問題です。Credit Suisse Research Instituteのレポートによれば、時価総額100億ドル以上の企業に絞り、女性役員がいる企業と一人もいない企業を比べると、女性役員のいる企業のほうが株価パフォーマンスが高く、圧倒的に金融危機後の回復力が高かったそうです。 https://www.calpers.ca.gov/docs/diversity-forum-credit-suisse-report-2015.pdf また、マッキンゼー・グローバル研究所の調査によれば、男女平等を促進するだけで2025年までにアジア太平洋諸国のGDPは年間約500兆円、世界のGDPは約3100兆円増加するとのことです。 https://premium.toyokeizai.net/articles/-/18337 ジェンダー平等を様々な分野で推進するのは、経済合理性にもかなっており、低成長に悩む日本経済のカンフル剤であることは論を俟たないでしょう。今回のトリエンナーレの取り組みは、具体的に男女平等を「達成した」ことに大きな意味があると考えています。トリエンナーレを大成功させることで、ほかの業界にこの動きを波及させていきたいと思っています。 ■ 前置きが長くなりましたが、今回ご連絡差し上げたのは、今回のあいちトリエンナーレの取り組みに対し、企業または個人の立場からご協賛いただけないか、というお伺いです。 上記インタビュー記事でも述べているのですが、トリエンナーレに招聘した作家の予算が全体的に足りていない状況です。元々あまり多くないというのもあるのですが、当初60組を呼ぶ予定だったのが、僕が事後的にジェンダー平等にする方針を決定したため、総作家数が66組まで増えました。 今回のトリエンナーレ、ジェンダー平等の方針を打ち立てて記者会見で述べたことで、当初僕が想定していたよりも遙かに大きい(10倍くらい)反応がありました。アートに興味がない人、東海圏以外の人にも情報が届いていて、「アートを一部のアート好きや美術業界関係者だけでなく、一般の人にも開いていく」という当初の目的は果たせそうなんですが、ジェンダー平等に過剰に光が当たった分、今回招いた女性作家に様々なしわ寄せが行っている状況もあります。具体的には今回呼ばれた女性作家に対する誹謗中傷や、同世代の若い男性美術作家からの揶揄や陰口なども横行しており、そうした状況を招いてしまった責任も感じています。そもそも「男女が半々になった」ということがこれだけの話題になり、議論を呼んでいる状況そのものに、日本社会に根付いた深刻なジェンダーバイアスを感じざるを得ません。 この状況を変えるには、実際に開幕したあと「ジェンダー平等が話題だったけど、普通に展覧会としてクオリティ高かったよね」と、展覧会の質で勝負するしかないと思っています。もっとも問題なのは、開幕したときに「ジェンダー平等方針は良かったけど、結局個々の作品のクオリティはイマイチだったね」と言われることですから。また、このまま行くと、女性作家たちの作品に対して質を厳しく見る「逆バイアス」がかかることが予想されます。それをはねのけるためには、一つひとつの作品の質を上げていくしかない。そして、個別の作品の質を上げるには、一人あたりの作家の制作費を増やしていくしかない。作家選定が終わったいま、僕が芸術監督としてやるべきことは、作家達がやりたいプランを全力でサポートしていくことだと思い、年明けから様々な企業や個人投資家などに当たって協賛をお願いしています。

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